ケースを入手する
ケースはどこで入手できますか?
大学院・ビジネススクールを始めとした、実際にケースを作成している機関のサイトや担当部署から入手・購入する方法があります。それら複数の作成機関のケースを数多く集めて紹介している組織もあり、豊かな品揃えを持っていることが魅力です。その他、いくつかのケースをまとめたケースブックという形で書店等にて販売されていることもあります。また、ケース作成者に直接書いてもらう方法もあります。
ケースを上手に探すにはどうすればよいですか?
ケースを上手に探すポイントの第一は、「自分がこれからどのようなケースを探すのか」というニーズをはっきりさせることです。それがはっきりしたら、その検索サイトがケースを管理している書誌情報をよく理解して検索を行います。その際、検索によってただひとつのケースに絞り込むのではなく、複数のケースへの絞り込みを行うくらいに留め、候補にあがったケースについては、ひと通り全文を読むのがよいでしょう。
ケースを探すときにいちばん大切なことは、自分が「どのようなケースを探すのか」ということをきちんと自覚していることです。その上で、ケース検索サイトの検索エンジンが持っている条件抽出項目(すなわちそのサイトがケース管理に用いている書誌情報項目)を十分に考慮して条件抽出を行う、というのが基本的なケース探索手順です。書誌情報項目の分類や、ケースへの書誌情報の持たせ方が、ケース検索サイトによって異なりますので、そのサイトで上手に探すためには「そのサイトに慣れる」ことも大切です。
このような手順によって、自分が読みたい、あるいは授業で使いたいケースの候補が絞込まれます。ただし、インターネット上の検索システムで書誌情報だけを頼りに、無数のケースの中からお目当てのひとつのケースにたどり着くことはそう簡単ではありません。現実的には、少し範囲を広めて検索した使用候補ケース群を実際に読み、その読後感を常に自分の頭の中にストックして、必要に応じてそこから選択して使うという選び方が理想です。特に授業のために用いるケースを探す場合は、そのケースを実際に使って授業をした講師、あるいは学習者の声を拾い上げるアンテナを張っておくとさらに理想的です。
討議型授業の教材にする以外にも、何か研究や調査をしようとしたときの参考文献としても、ケースは有効に使えます。このことは「事例研究ケース」のみならず「討議用ケース」であっても同様に有益です。その意味でも、おおまかな記述概要を自分で把握しているケースを、ある程度の量、自分の頭の中に持つことは何かにつけて役立ちます。したがって、ある程度は時間を取って、「何かよいケースがないか」と日ごろから探索的に探しておくことをお勧めします。
なお、教育ニーズが具体的であればあるほど、ケース探しの作業は「ないものねだり」になりがちです。極論すれば、自分のためにケースを作成しない限り、お目当てのケースそのものには出会えません。いまあるケースを使い、あとは授業運営上の工夫を積極的に行うことで、ケース活用能力を高めていくことも考えていきたいものです。