レノボ: グローバル・ブランドの構築
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2004年12月、中国最大のPCメーカー、レノボによる17億5000万ドル規模のIBMのPC部門買収が発表され、世界中でトップニュースとなった。パソコン業界では比較的新興企業であるレノボが、1981年にPCを発明したIBMの部門を買収しようというのである。中国では間違いなくもっとも知られたブランドであるが、それ以外の国では事実上無名だった。2004年にはレノボの収益の90%以上を中国で得ていたが、レノボはこの大型買収によって、世界最大手の技術系企業の仲間入りを目指していた。従業員2万人を擁し世界138カ国で事業展開する新たな多国籍企業として、レノボはこの新しい活動範囲に見合うグローバルなマーケティングおよびブランディング戦略が必要だった。そのためには、レノボの目指すものは何かを決定し、その主張を支える製品をデザインしなければならなかった。買収の発表から13カ月後、取引成立から数えて8カ月後の2006年1月、レノボは2006年2月のトリノ冬季オリンピックのスポンサーとして華々しく脚光を浴びるための準備をしていた。トリノでは、中小企業向けに一からデザインしたレノボ・ブランドの製品ラインを発表する計画だったが、それは業界観測筋からは大胆でリスクが高い戦略とみなされていた。
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