TESSEI(テッセイ)の苦境
- ケース
2005年、矢部輝夫は新幹線の清掃を行うJR東日本の子会社で、669人の従業員を持つテッセイの再建を要請された。テッセイに対する需要は伸び続けているにもかかわらず、作業ミス、顧客からの苦情、安全性の問題と従業員の離職率は、過去最高に近い高さだった。前任者が管理職による監視と管理を強化することでテッセイの問題を修正しようとした試みに失敗したのを受けて、矢部は組織が直面していたモチベーション、資質、協調性に対する課題を克服するのに創造的なアプローチを試みた。現代の多くのリーダーと同様に、彼は透明性をツールとして選択した。しかしながら、透明性の実施にあたって、非常に微妙なアプローチを採用した点が、彼のユニークなところであった。その過程で、彼は素晴らしい組織再建を先導しただけでなく、それまで「汚い」仕事とみられていたものを、テッセイの第一線で働く従業員たちにとってより意義のあるものへと変貌させる手助けをしたのである。ゆえにこのケースでは、とりわけリーダーシップ、組織行動、業務管理、サービス業務のコースを教えることができる。そして、受講生によく練られた透明性戦略が、どのように力強いリーダーシップ・ツールの役割を果たすのかを考えさせる機会を与える。