ファナック株式会社: コーポレート・ガバナンスと財務方針の再検討
- ケース
2015年2月、ダニエル・ローブ(米国を拠点とするモノ言う投資家)は、彼の会社がファナック株式会社に巨額の投資を行ったことを発表した。同社は、産業用ロボットや工作機械向けソフトウェアのトップ企業である。ローブは同社に対して、財務およびガバナンス方針の変革を要求していた(例えば、より多くの現金を分配すること、「非論理的な」資本構造を修正すること、株主により多くの情報を提供するといったことである)。ファナックのCEO稲葉善治と取締役は、これに対応するかどうか、するとしたらどのように対応するのかを決断しなければならなかった。一方で、同社は各コア事業のグローバル市場でトップのシェアを築き、収益性では1人当たりでゴールドマン・サックスを超える等、大きな成功を収めていた。他方、首相が最近発表した、経済成長戦略「アベノミクス」の一環として、日本政府は財務およびガバナンス改革を呼びかけていた。稲葉と彼のチームは、提案された変革を以前から検討はしていたものの、問題は、今が本当にその変革を行う時なのかどうかということだった。