コロナ禍とAirbnb:岐路に立つステークホルダー資本主義
- ケース
2020年前半、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行で、世界の旅行業界は急停止した。サンフランシスコと本拠とする宿泊施設賃貸プラットフォームAirbnbも、売上が対前年で70%以上も減少するなど、あっという間に深刻な打撃を受けた。CEOのブライアン・チェスキーをはじめとする最高幹部チームにとって、この突然の逆境への対策は大きな課題となった。同社はゲスト(賃借人)、ホスト(賃貸人)、従業員、コミュニティ、株主という5つの利害関係者集団の利益をバランスさせるステークホルダー・モデルを採用していたからだ。同社が成功を収めれば、5つのグループはいずれも長期的に利益を得られるものの、特に損失が詰み上がる状況で、短期的に競合しかねない要求をどうやって均衡させるべきかという問題は、簡単に解決できなかった。例えば、移動が制限される中で、Airbnbはホストに保証金の返還を求めることで、ゲストをサポートするのか、それとも保証金の没収を認めることで、ホストをサポートするのかという選択に迫られた。同様に、手持ちの現金を使って雇用を維持すべきか、それともリストラを断行して出資者を守るべきかという問題もあった。2020年4月の先が見えない状況の中で、チェスキーと最高幹部チームは、ほとんど前例がなく、参考にできる情報も限られる中で、重大な決定を多く下さねばならなかった。ステークホルダー・ビジネスモデルを真っ先に採用したシリコンバレーの「ユニコーン」企業の一つがどんな決定をどのように、どんな理由で下すのか。Airbnbは世界の関心を集めることになった。
- 出版日
- 2021/05
- 改訂日
- 2021-08-01
- 領域
- 経営・戦略
- ボリューム
- 30ページ
- コンテンツID
- CCJB-HBS-222J03
- オリジナルID
- 222J03
- ケースの種類
- Case
- 言語
- 日本語
- 翻訳
- English
- カラー
- 製本の場合、モノクロ印刷での納品となります。
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