ディスコにおける個人Will
- ケース

半導体製造装置用の精密工具メーカーであるディスコは、世界シェア70%、7年間で15%から30%の収益性向上を同時に達成し、日本の「働きがいのある会社」にも常に選ばれているという。一見普通の会社に見えるが、その成功の秘訣は、P-Will(Personal Will)と呼ばれる真の個別人財マネジメントにあったと関家氏は語る。P-Willとは、社内の市場取引を可能にする通貨「Will」をベースにした独自の管理会計システムである。ディスコでは、1時間の労働と1つの商品にはWillという価格が付けられていた。従業員は独立した事業主のように行動することが求められているが、P-Willを利用して収益貢献と事業費をWillで管理していた。年に4回、個々のP-Will口座の残高を実際の通貨に換算し、ボーナスとして支給する。 ここ数年、半導体業界を含む10社ほどの企業が、ディスコの成功を見習ってP-Willを導入したいと関家を訪れたが、実際に導入した企業はなかった。ディスコを訪れた別のゲストを見送って、関家は自問自答した。なぜ他社はP-Willを導入しないのか?P-Willが機能し、機能しない条件とは何か?