宅急便と「バリュー・ネットワーキング」構想: 海外展開に向けたヤマトグループの挑戦
- ケース

日本最大の宅配便事業者であるヤマトホールディングスは、日本の宅配便市場で40%を超えるシェアを有していた。同社は1950年代に海外展開を開始し、日系企業とその海外子会社を中心に物流サービスを提供した。2000年以降、主力の宅配便サービスである宅急便を、台湾、シンガポール、上海、香港、マレーシアで開始したが、2015年の海外収益は総売上高のわずか4%にとどまっていた。同社の戦略目標は、創業100周年を迎える2019年までに海外事業からの収益を総売上高の20%まで成長させることであった。このケースで言及される主要な課題には次のようなものがある。競争の激化と単価値下げのプレッシャーを受け、ヤマト運輸は宅急便の国内での成功をどう維持すべきだろうか。中核の宅急便のサービスモデルを海外へ輸出するのが困難なことは証明されており、ヤマト運輸は従来のC2CおよびB2CセグメントからB2Bに軸足を移し始めた。これは果たして成功への近道なのだろうか。中核の宅急便サービスがノンデリバリー事業を補助していくのか。グループ戦略にとって主要なリスクは何であり、成功するために必要となるのは何であろうか。