N1取らせろって言うけれど
- ケース

中堅日本語教師高村美紀は、美術系の私立大学であるさくら大学で働いている。さくら大学は10年前から経営戦略として留学生の獲得に力を入れており、その戦略の一環で専任教員として1年前に採用されたのが高村である。留学生はほぼ全員が漢字圏出身で、入学時の日本語レベルは日本語能力試験N2(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理することができる)レベルである。卒業までに留学生全員がN1を取得し、大学のアピールにつなげたい武藤理事長は、高村にN1取得率向上を強く求めている。しかし、留学生はN1取得の必要性を感じておらず、高村はN1対策より会話能力を伸ばすべきだと考えている。