カルロス・ゴーン ― 自動車メーカーのレジェンドの栄枯盛衰 ―(B)
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この要旨は、ケース(A)と(B)のシリーズをまとめたものである。ブラジル人、レバノン人、あるいはフランス人ともいえるカルロス・ゴーンは、20世紀後半から21世紀初頭における自動車業界で、最もではないかもしれないが、多くの点で称えられた経営者の一人である。このシリーズは、彼の、キャリア、リーダーシップ、そして意思決定について書かれた2部構成のケースである。
ケース(A)は、ゴーンが来日した初期の1999年から始まる。ゴーンは、長い伝統を持つ日本最大級の自動車メーカーでありながら経営難に陥り、倒産の危機に瀕していた日産を救済する任務に就いた。ゴーンは、ルノーが1999年に日産とアライアンスを提携した後に、日本に渡った。ケース(A)は、ゴーンがブラジルで生まれ、レバノンへ移り、その後にフランスで学び、ミシュランにおいてキャリアをスタートさせて成功を収め、やがてルノーへ移って再建に務めたストーリへと展開している。さらに、乞われて日産へ移り、財政破綻寸前の日産を救い、数々の栄誉に輝いたが、ルノーと日産を合併して一つの会社にするという計画は頓挫し、アライアンスは現状維持のままに留まる時点の2018年11月でケース(A)は終了する。ケース(A)は、重要な緊張関係を中心に構成されている。すなわち、 コスモポリタンで、人種のるつぼを自ら体現し、かつ活動的であり、「コストキラー」として名を馳せたゴーンは、非常に均質で、婉曲的で、対立を避ける文化を持つ日本企業に出会ったらどう行動するべきか、について問いかけている。
ケース(B)は、2018年11月19日に東京の羽田空港に到着したカルロス・ゴーンが逮捕されるところから始まる。彼に対する告訴は、会社の資金を私的に流用し、多額の報酬を隠していたとの申立てによる。主任検察官によれば、ゴーンの不正行為はインサイダー取引よりも深刻だという。このケース(B)では、ゴーンに対するさまざまな申立てが詳細に紹介され、その後、告訴に対するゴーンと日産の反応が描かれている。最後に、ゴーンの保釈を含む、その後の経過が紹介されている。ケース(B)は、重要な問いをめぐる討議を促進するためのものである。すなわち、 ゴーンほどの成功を収めた人物が、なぜに告訴されるような行動に走ることになったのか、という疑問に対する討議である。このケースの重要な緊張感は、文化、リーダーシップ、非倫理的な意思決定ならびに行動に係る問題について、一般論としてのみならず、組織的な文脈においても、考察して討議する良い機会を学生に提供する。このケースを通して、学生は、国や企業の文化、異文化間のマネジメントとコミュニケーション、意思決定のスタイル、ガバナンス、リーダーシップにおける倫理、限定的合理性、自己動機による理由付け、利己的なバイアスについて学ぶことができる。
- 出版日
- 2020/06
- 領域
- 組織行動・人的資源管理
- ボリューム
- 6ページ
- コンテンツID
- CCJB-SMU-20-0017B JPN
- オリジナルID
- SMU-20-0017B JPN
- ケースの種類
- Field
- 言語
- 日本語
- 翻訳
- English
- カラー
- 製本の場合、モノクロ印刷での納品となります。
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