アバクロンビー&フィッチ: 排他的であることは倫理に反するのか
- ケース
衣料品の製造小売会社アバクロンビー&フィッチのCEOは、男性用には超特大サイズを用意しているにもかかわらず、女性用の特大サイズは扱わないという自らの決断を擁護する。平均サイズから大きいサイズの女性消費者は、会社のターゲット市場にそぐわないからという理由である。若くてほっそりして背の高いことを女性の美しさの基準とするこの主張は消費者を激怒させた。それまで消費者は、特にティーンエイジャーにおける身体イメージとジェンダー・ステレオタイプの問題を悪化させたとして、従来のメディアとソーシャルメディアの両方で、会社、とりわけCEOを批判していた。もっとも、サイズの種類を増やすことは、流通と製造に難しい課題をもたらすだけでなく、競合他社のH&Mが大きなサイズのモデルや店舗のマネキンを採用したときのように、会社が肥満や不健康なライフスタイルを奨励しているという非難につながるおそれもある。ターゲットとするティーン市場におけるアバクロンビー&フィッチの人気は、排他性の普及次第であり、排他性の普及は、ティーンエイジャーが何を「クール」と考えるか次第である。しかし、批判の高まりと売上の落ち込みに直面して、セグメンテーション戦略にこだわることは理に適うだろうか。