2020年9月に日本ケースセンターに登録されたケース教材「『もう一度、世界で戦える漁業にする！』と奮闘する遠洋マグロ漁業者の記録」（コンテンツID：CCJB-OTR-18061-01；オリジナルID：YMC_0009）において、気仙沼に本社を構える遠洋マグロ漁業者、臼福本店の挑戦を取り上げた。同社の挑戦とは、世界で初めてクロマグロでMSC認証（Marine Stewardship Council：海洋管理協会；「海のエコラベル」といわれている国際認証）の取得への取り組みと、新船の建造に数々の機能を取り込んだ漁船のイノベーションを実現させた取り組みである。
　臼福本店は、なぜ、このような挑戦を行ってきたのか。その原点は、（一度は高い国際競争力を発揮していたにもかかわらず）日本の漁業の競争力が低下している状況に直面して、改めて「漁業に光を当てる」「魅力ある漁業にする」「稼げる漁業にする」と覚悟したことにあった。
　同社のいずれの挑戦も、遠洋マグロ延縄漁業界にとって、初の取り組みであった。そこで、本ケース教材では、臼福本店が行ったMSC認証の取得への挑戦と漁船のイノベーションの取り組みという2つの戦略的投資に焦点を当て、これらの挑戦の内容を、その動機とともに、より詳しく確認していくものである。